『HOW BLUE CAN YOU GET/GARY MOORE』。やはりGARYのバラードは最高だ!

亡くなる前に1度だけでも良いからライブで聞きたかった(が、叶わなかった)ミュージシャンの筆頭に上がる(当社比)のはこの人、GARY MOOREである。

2011年に心臓発作により急逝してから早10年が経った。

返す返すも惜しいミュージシャンを失ったものだ。

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さて、そんな彼の未発表音源がアルバムとして発表された。

『HOW BLUE CAN YOU GET』だ。

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・・・って、アルバム1枚作っちゃうほどの未発表音源があったのか!
いや、既発表曲のバージョン違いとか、ライブ演奏曲とか、そういう誤魔化し音源ではない。
ま、ブルースに強く傾倒していたゲイリーにとってはスタンダードナンバーを自分流に料理して収録するというのは日常茶飯事だから驚かない。
しかし、本アルバム全8曲のうち、ゲイリー作のオリジナルは4曲。
どこにそんなお宝音源が眠っていたんだ・・・と、ライナーノーツを書いた伊藤氏も驚いていたのは無理もない。

アルバム全体のイメージとしては相変わらず「ザ・ブルース」だ。
生前、ハードロックへの回帰もほのめかしていた彼だが、新作も、ライブも体験することができなかったのは惜しい。
しかし、ブルースへの彼の傾倒は強く「古い、だが良質な」音楽を求めた音楽人としてブレなかった。そんな彼の姿勢を鑑みたのか、アルバムジャケットの仕上げをわざと古めかしいものにしている。
レコード会社の気合が感じられるというものだ。



最初に本作の情報を知ったのは、伊藤政則氏のラジオプログラム/パワーロックトゥデイにて。
良い子のヘビメタ好きにはド定番番組ですね。

アルバムが発表されると聞いて、死ぬほどビックリしたと同時にその際紹介された曲が「In My Dreams」であった。




GARY MOORE のことを全く知らない人でも、実はどこかで「この曲聞いたことある!」という経験があるのではないだろうか?

* 2014年ソチオリンピックで羽生結弦がショートプログラムを演じる際に使用したBGMはGARYの超有名曲「Parisiennne Walkways(パリの散歩道)」。
知ってっぺ?
ちなみにこの曲は郷ひろみも「愛しい他人-パリの散歩道-」としてカバーしていたらしいが、そのバージョンは聞いたことがない。


* 1986年に本田美奈子がカバーした「ーthe crossー愛の十字架」はGARYの曲のカバー。
あれ?しかしGARYがアルバム「WILD FRONTIER」で発表したのは1987年だ。調べてみると、もともと本田美奈子へ提供したマテリアルのセルフカバーだったらしい。WILD FRONTIERアルバムを購入した際、CDへのボーナストラックだったらしい(うろ覚え)。
それにしても本田美奈子の動画にはギターを持つ2人がいるが、両人とも故人となってしまったのは残念な限りだ。


* おっと忘れちゃならねぇカバーがもう一つ。世界一好きなバンドRIOTが1995年に発表した「THE BRETHREN OF THE LONG HOUSE」に収録したのが、「OUT IN THE FIELDS」。もともとGARYの1985年のアルバム「RUN FOR COVER」に収録されている反戦歌だが、GARYのファンであるMARK REALEが取り上げたのだろう。このころのRIOTはカバー曲を収録することが良くあったが、ボーナストラックなどという扱いではなく、アルバムを構成する7曲目に置いている。「THE BRETHREN~」アルバムがアメリカン・インディアンの戦いを描いたものだったため、アルバムのテーマにもぴったり合ったのだろう。


ま、一般の人でも知っているのは先の2曲だろうが、他にも坂上忍、浜田麻里、柴田直人、ナイトウィッシュ、ソナタアークティカなど、国内外・ジャンルを超えて様々なミュージシャンがカバーしている。



さて、話をもとに戻そう。
ラジオで聞き衝撃を受けた「IN MY DREAMS」である。

最初に感じたのは「これぞGARYのバラードだ!」だった。
正直、彼の名曲「The Loner」のパクリか!?とも思ったが、手クセフレーズというか、お気に入りの音運びというか、音楽の偶然というか(笑)、いずれにしてもGARY節炸裂なのです。
アルバム先行音源として動画も公開されているので貼っておこう。



収録曲を記録しておく。

01.I'M TORE DOWN
 ブルースのスタンダードナンバー。プログレッシブロックのような複雑な構成はここにはない。単純なコードといくつかのブレークがあるだけで曲構成は単純だ。改めて音楽のすばらしさは(曲の作りだけでなく)パッションだなと思わせる。

02.STEPPIN' OUT
 こちらもスタンダードなインストゥルメンタル楽曲。2007年にGARYがホストを務めたウェブ・ラジオでオープニングに使用された曲とのこと。ただし本収録曲とは異なるバージョン。彼のギターがこれでもか、と演奏しまくりなのでバッキングはオルガン。コレもいい!

03.IN MY DREAMS
 ザ・ゲイリー・ムーア。

04.HOW BLUE CAN YOU GET
 B.B.KINGの十八番。渋い歌を聴かせながら泣きのギターで合の手を入れる。GARYの真骨頂。こういうスローバラードでのギターがまたイイんですよ。シンプルながらも7分超えの曲でひたすらブルースしてくれます。

05.LOOKING AT YOUR PICTURE
 流しっぱなしのリズムトラックにギターとヴォーカルを乗せたような構成。いきなりフェイドインでのイントロからひたすら歌い、弾くGARY。なるほど、’99の「ディファレント・ビート」という実験的なアルバムからのアウトテイクだから変わった曲構成なんだ。イントロと同じように、突然終わる。

06.LOVE CAN MAKE A FOOL OF YOU
 実はGARYにラブソングを書かせると、日本人好みのマイナーコードと泣きのギター炸裂で良い作品を作るのだが、これもそう。先に言及した坂上忍と浜田麻里がカバーした曲のブルース・バージョンが本作。ハードロック時代の作品のため、聞いたことはないがなんとなく懐かしさを感じる。終盤のギターソロにもそのころの片鱗が伺える。

07.DONE SOMEBODY WRONG
 オリジナルはエルモア・ジェイムズ。オールマン・ブラザーズ・バンドの前座を務めていたころからカバーしたいと思っていたらしい。これもオルガンがいい仕事している。

08.LIVING WITH THE BLUES
 アルバム最後はオリジナル曲。そしてこの曲名(ニヤ)。GARYのヴォーカルは「すごく上手い」わけではないが、味がある。ま、聞きなれていることもあるが、ヘタウマなKAI HANSENにも匹敵する「好きな」声なのだ。それがたっぷり堪能できるバラードがこの曲。
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aquavit103

Author:aquavit103
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丙午生まれの♂。
40歳から始めた自転車に乗り、20歳で出会ったRIOTというバンドを愛し、14歳から読んでいるスティーブン・キングの本を読むことを至上の喜びとしています。