RIOT(V)のヴォーカルである、Todd Michael Hall のソロアルバムである「
SONIC HEALING」を入手しました。
アメリカ東海岸のレーベルで、主な所属アーティストとして METAL CHURCH,Todd Michael Hall,LYNCH MOB,STRYPERのMichael Sweet,VIXEN などなど・・・
特に、「元〇〇バンドの△△」というミュージシャンが多いようだ。
その昔活躍した(というか、売れた)バンドで活動していたが、今はオリジナルアルバムを発表しなくなってから久しい・・・というバンドの元ギタリストとか、ヴォーカリストがソロ名義で作品を発表する場になっているようだ。
さて、本作についての一連の流れを記録しておく。
1.RIOT(V)の新譜の発売が囁かされ始めたのがCOVID-19騒ぎの少し前だっただろうか?その後全ての音楽家の活動が一時停滞したのは周知の事実。
2.しかしながらRIOT(V)のメンバーはもともとアメリカ合衆国内の離れた場所に居を構えるため、今までもデータのやり取りで作品作りをすることは珍しくなかった。
3.バンドの主要人物であるMike Flyntz がパートナーのTammy Wolfarth と自宅地下室からリモートライブを毎週木曜日の夜に配信を開始(日本時間では金曜日の朝)。ちなみに2021年5月現在でも継続中。
4.Todd M.H.はアメリカのオーディション番組「The Voice」に出場し、見事チームBlakeでコーチにつくことができた(その先には進めなかったけど)。これが2020年の2月ね。
6.2020年の9月にもインタビュー記事掲載。Metal Chaos Magazineのフェイスブックページを参照した。オーディション番組The Voice の話題やRIOT(V)の新譜(この時は年末には発売できるのではないかと発言していた)のことなど。
以下に本作のインプレッションを記す。
まずは収録曲を。
01.OVERDRIVE
02.LET LOOSE TONIGHT
03.ALL ON THE LINE
04.RUNNING AFTER YOU
05.LOVE RAIN DOWN
06.SONIC HEALING
07.LIKE NO OTHER
08.SOMEBODY'S FOOL
09.TO THE BONE
10.LONG LOST ROCK & ROLLERS
BONUS TRACKS
11.THE OTHER SIDE
12.NOT WITH A SWORD
リリースに合わせていネット上で
トッドのインタビューが掲載されたので、本作を深く楽しむために簡単に紹介しておく。
【METAL INSIDER】
パンデミック期に自己のソロアルバム製作にあたり得た5つのことは?という主題で。
*METAL CHURCHのKurdt Vanderhoofがプロデュース。
*長年自宅のホームスタジオでヴォーカルを録音するという作業をしてきたので、パンデミックだからといって特別その作業内容が変わることはなかった。
*ただ、他のミュージシャンと一緒にスタジオで作業するということ自体は好きなので、そのことができないのは残念だった。
*クルトと作業する際にZOOMを使用したが、使いやすくクリエイティビティをアップさせてくれた。
*アルバム製作に着手したときは「ポジティブなエネルギーに満ちたアルバムを作ること」が目標だった。クルトの音楽は素晴らしく、集中力を維持することにも貢献したがこのような世相で発表することはひとつの挑戦だった。
*そしてバンドメンバーやアーティストと一緒に音楽を作る作業は、やはりリモートでは味わえない重要な工程だと思う。
【DIGITAL JOURNAL 5月10日付】
同誌の記者とのチャットインタビュー内容。
*プロデューサーはメタルチャーチのクルト・ヴァンダーホーフ。トッドのヴォーカルの腕前、音楽のルーツ、作詞作曲能力の高さを垣間見ることができたとクルトは言っている。
*わずか3週間で18曲を作り、そのうち15曲を選別。あまり増長なアルバムにしたくなかった。
*トッドが目指したのはクラシックロックの香りを残した作品作り。
*個人的に気に入っている曲は「RUNNING AFTER YOU」。初めてクルトと共作した作品で、特にコーラスワークの力を入れた。
*The Voice のオーディション経験並びにチームBLAKEでの仲間との過ごした時間は素晴らしく、アルバム作成にも貢献している。
それではアルバム全体の印象を。良くも悪くもいまどきの音とはちょっと違うという印象を持った。
そう。世代的に自分と同じ音楽を聴いてきたのです。
もちろん住んでいる国が違うわけですから、耳に入る音楽の種類は若干異なるかも・・・ですが。
昔から洋楽好きだったので、当時流行っていた音楽はFMでエアチェックしたり、姉の影響でベイシティローラーズの曲をすべて聞いていたり(笑)。
関係ないですが、レスリー・マッコーウェン亡くなっちゃいましたね。
話しを戻そう。
インタビューでも語っているが、トッドが昔から良く聞いていたのはREO SPEEDWAGON、FOREIGNER、STYX など。 聞こえは悪いが産業ロックなどとも揶揄された時期もあった当時の音楽、いわゆるキャッチーなメロディでオーソドックスなアレンジ、比較的短い曲の長さ、バンド形態など。
ま、若いころ聞いていた音楽が一生の好みになると言いますから、「良い悪い」ではなく「好き嫌い」なんでしょうね。そもそも音楽に良いも悪いもないんですから。
曲ごとの解説を。
01.OVERDRIVE
アルバム発売前に公開されたビデオ。
4月のエントリーでも紹介した通り、RIOTと同じ曲名というのはおいといて(笑)、ストレートなロックナンバー。
イントロのギターリフに導かれて、
トッドが車でバンドンに合流。ひたすら演奏するという「バンド演奏型」ミュージックビデオ。
ここにも80年代の影響があるのかな?
あ、そういえばアルバムのライナーノーツのことを少し書いておきます。
本作は日本国内発売がなかったので輸入品を購入しました。
それなのに。
英語の歌詞はもちろんですが、日本語訳が掲載されているんですよ!?
ん~?
これは一体どういうことだ?
その昔、輸入LPレコードを好んで購入していた時期がありました。
一番の理由は「安価」だから(笑)。
ただ、国内盤のような「解説」はなく、歌詞も掲載されている作品、全くないもの様々でした。
今のようにアーティストが自身のサイトやSNSで情報発信する時代ではないので、雑誌やラジオからの情報に加えてレコードの解説は貴重な情報源でした。
ま、もちろん解説的なものはもちろんありませんが、輸入品に日本語訳詞が載っているというのは初めての経験。いくらRIOT(V)が日本びいきだからといって、これはやりすぎです。
さて、歌詞は「恋人に会うために車を走らせ、まっしぐらにオーバードライブするのさ」という定番アメリカンロックのような内容。
02.LET LOOSE TONIGHT
シャッフルのバッキングで始まる曲。
歌詞の内容ビデオとも、「音楽を目いっぱい楽しもうぜ!」という感じ。
曲調だけ聴くと、RAINBOWのSTARSTRUCKを思い出します。
こちらも動画が公開されているので、どうぞ。
このビデオにもちらっとハーレーが映ってるところを見ると、トッドはモータースポーツ好きなんでしょうかね。
趣味でボルダリングやロッククライミングを楽しむ動画も見たことがありますが・・・
03.ALL ON THE LINE
ミドルテンポのナンバー。
重々しいギターリフに始まり、ブリッジの明るい曲調からサビでは明るいロックに変貌。
人生をゲームに例えて「自分の全てをさらけ出す~ALL ON THE LINE」ことを歌ったポジティブな歌詞。
04.RUNNING AFTER YOU
ボーカルから始まる。
このサビの感じはBOSTON?BON JOVI ?
他のバンドに例えるのもどうかと思うが、それだけ昔の曲を彷彿とさせるような曲調。
ギターソロなどもメロディアスで、クルトが弾くメタルチャーチのそれとは趣が異なる。
05.LOVE RAIN DOWN
ハードエッジなギター。
「貴方の愛で洗い流してほしい」という若干過激な歌詞とアレンジ。
中東のような不思議な曲調と、中間部分のエフェクトされたボーカルが独特の雰囲気を醸し出している。アルバムの中でも異色の作品かな。
06.SONIC HEALING
アルバム表題曲。
こちらもイントロのリフが若干シャッフリングしている跳ねる曲。
トッドの考えに「大切なのが音楽で、人を癒すパワーがある」とある。
人生にはつらい時もあるが、そんな時こそロックで音に癒されるのがいい!
07.LIKE NO OTHER
ストレートなラヴソングですね。
君以外は目に入らない・・・という感じ。
で。
アルバムのビデオとは別に、本作は動画がアップされている。
いわゆる、ワンテイク録音だ。
トッド自身が記している通り、チャレンジングな歌だ。
ファーストバースは淡々と(だが感情をこめて)歌い、セカンドでオクターブ上げて歌いこむ。
スタジオ収録とは違い、切り貼りできないからオクターブ上げる歌い方は喉のコンディションを良くしていないとうまくいかないハズ。
ま、ライブではいつもやってることか。
バックのイメージがインドっぽいのもトッドらしいですね。
あれ?
もしかして彼が自宅に持っているスタジオがコレ?(未確認)
08.SOMEBODY'S FOOL
フランジャーがかったギターのリフで始まる曲。
愛するがゆえに相手が遊びだということを確かめられずにいる不安を歌った曲。
それを第3者の目で語ることで「騙されたくないんだろ?」というように仕上げている。
09.TO THE BONE
こちらもミドルテンポなオーソドックスなアレンジ曲。
こちらも恋人のことを歌う曲。
しかし毒舌な相手の言葉は時に骨に突き刺さることもある・・・
トッドの書く歌詞(たぶん彼が作詞・・・だよね)は愛するものを歌うことが多い。
いろいろな切り口から書かれていて面白し、たぶんそつなくこなしているのでしょう。
(あまり歌詞の良さとかわからなくて・・・メロディ重視主義ですから)
ただ、RIOT(V)には弱すぎる歌詞だな。
ま、だからこそソロアルバムを作ったんだろうけど。
そんな甘い歌詞でも(あ。これは違う)曲の良さで、タイトなナンバーに仕上げているというのが本作の大きな特徴かな。
10.LONG LOST ROCK & ROLLERS
一瞬RAINBOWのLONG LIVE ROCK AND ROLLかと思いましたが、歌詞も曲調も違う。
アルバムを締めくくるこの曲は、結局トッドが表現したかった古きよきアメリカンロックを謳いあげたもの。
ロックがラジオで毎夜流れ、街にバンドが来れば安いチケットで友達と楽しむ。
お気に入りの音楽なら朝までだって聞き続ける・・・というような内容。
まさに「SONIC HEALING」で語りたかったことなのかな。
ちなみに唯一フェードアウトで終わる。
そういえば昔の曲はフェードアウトで終わるのが多かったな。
だからこそ好きなバンドの曲がライブでどんなアレンジになるか気になったもの。
[BONUS TRACKS]
11.THE OTHER SIDE
明るいロック。
本作ラストの曲を受けているような曲。
12.NOT WITH A SWORD
なんと、SWORDですよ。
RIOTじゃないんだから。
しかし、ボーナストラックだというのにこの曲にも対訳がありました。
ただ、歌詞にJesusが出てきて、「剣ではなく、言葉で人々を救う」的な内容だと思うんですが・・・
対訳のフォントがオリジナル曲のそれよりさらに小さいため、老眼鏡の助けを借りても良く読めない!
こんな時、LPレコードっていいな~と思う。
あ、これもフェードアウトした!
と、まぁ、本作はTodd Michael Hall のルーツを髣髴させる曲ばかりで、まさにドライブしながら聞くのにいいかもしれません。ただ、本業(RIOT)のほうも頑張って、製作ヨロシク!
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