音楽ネタです。
ここ数年、バンド創始者にしてカリスマ的存在であるカイ・ハンセンと初期バンドのヴォーカリストとして活躍したマイケル・キスクがバンドに加わり、ライブ活動を行ってきた。シングル「Pumpkins United」はその活動の象徴であるが、残念なことに当時はライブ活動が中心で新しいアルバムを創作するまでに至らなかった。
そんな彼らが満を持して2021年6月にニューアルバムを発売することが決まった。
1986年にリリースされた彼らのファーストフルアルバムも「
Helloween 」であるから、原点回帰・輪廻転生・再出発 等々、メンバーにとって今回の作品はいろんな意味を持っているに違いない。
アルバムジャケットを見るだけで初期のころからのファンは興奮するはずだ。
彼らのマスコットであるカボチャは鳴りを潜め(もしかするとアルバムのバックカバーに描かれているかもしれないが。現状アルバムカバーのみ公開されている)、歴代アルバムのアイコンが示されている。併せて今回のアルバム(勝手にコンセプトアルバムっぽくなるのではないか?と踏んでいる)のストーリーを象徴するような意味合いもあるかも知れない。
そうだとすれば、30年に渡る「Keeper of the seven keys」の集大成になるのではないか?
「Walls of Jericho」はじめ「Keeper ~Ⅰ&Ⅱ」、「The time of the Oath」などで描かれているフードの魔導師(?)あるいは時間旅行者(?)なる人物を中心に、ジェリコの壁を崩壊させた角笛を思わせるラッパ、もちろん7つの鍵、天使、死者、時計、水晶、などなど気になるアイコン満載です。
余談:キングファンとしてはフードを被った魔導師の雰囲気はさしずめランドル・フラッグ、つまり黒衣の男のようである。ただ、バンドのアルバムカバーに描かれているこの存在は「善」か「悪」か釈然としない。RFならば明らかにダークサイドのキャラクターだ。
ついでに収録予定曲も載せておきましょう。
OUT FOR THE GLORY
FEAR OF THE FALLEN
BEST TIME
4. MASS POLLUTION
5. ANGELS
6. RISE WITHOUT CHAINS
7. INDESTRUCTIBLE
8. ROBOT KING
11. ORBIT
12. SKYFALL 曲名を見ているだけで期待が膨らみます。 同アルバムには、「~完全版~」と銘打って、2CDの製品である以下のボーナストラックを収録された商品も発売されます。最近はいろんなバージョンで発売されるのでコレクターにはツライ出費ですね。 1. GOLDEN TIMES 2. SAVE MY HIDE 3. PUMPKINS UNITED 4. WE ARE REAL
冒頭からエントリータイトルから横道にそれましたが、先行発売シングルについて記していきます。
先日(4月2日)先行シングルとして発売されたのが「Skyfall」。
早速購入しました。
もちろん事前にプロモーションビデオが公開されていたのですが、今回は楽曲に対する期待が大きすぎて躊躇なく購入。
収録曲は2曲のみ。
1.Skyfall (single edit)
2.Skyfall (exclusive alternative vocals mix)
ま、つまりバージョン違いで同じ曲が2つってこと(笑)。
【アルバムカバー及びストーリー】
荒れ地と宇宙船らしきシルエット。バックカバーにはいかにも宇宙船らしき飛行体を追いかけるように天使(翼の生えた異星人なのか?)が飛翔している。
プロモーションビデオと合わせてみると理解しやすい。
勝手な解釈はこうだ。
*グレイ型エイリアンがマシントラブルで地球(と思しき惑星)に不時着。 *捉えられたところは、ま、エリア51のハンガー18でしょうな。 *地球外知的生命体の別の種族、フライングV型宇宙船からアンディ扮するアイアンマン風ヒーローが地上に飛来しグレイ救出 *ともに地球外へ脱出するが、その後のオハナシは如何に・・・?
そして、新しいカボチャキャラの登場。
ビデオにバンドメンバーが出演する際、ジャケットの背面には新カボチャキャラ。 初期のおどろおどろしい雰囲気、中期のコミック的風貌、アンディ時代の劇画調、そして今回のそれはアイコニックで描きやすそうだが凛とした表情がアルバムの性格をも表しているのかもしれない。
【カイ・ハンセンによるライナーノーツ】
発売直後なので全文載せることは遠慮するが、「Skyfall」は言葉そのものの意味のほかに「既存の秩序が乱れ世界が崩壊する」という暗喩も含んでいる。 さらにリリックは3種類に分かれており、エイリアン・救助者・第三者それぞれの視点でストーリーが語られる。
ただね、もうちょっと考えてくださいよ、ビクターさん。
ワタシのように古くからのバンドファンは40~50代ですよ。
極小フォントに加え、背景色が複雑なところへ色違いの文字・・・読みづらいったらありゃしない。
アメリカでレコード(つまりジャケットでかいのでライナーノーツ等すべての文字が大きい!(ハズ))がCDの売り上げを抜いたというのもうなずける(そこか!?)。
アーティストというのは良くも悪くも自分の身近な出来事に触発されて作詞することが多いと勝手に思っているが、作詞・作曲とも行ったカイ・ハンセンにとってこの曲の意味するところはなんだろう?
本作品のストーリーをダイレクトに読み込めばエイリアンの救出劇と帰還、それに続く絶望というようにオールドスタイルのSFを読んでいるかのような錯覚にとらわれる。
しかしエイリアンの立場を自分に置き換え、もしも現代の紛争地域に住んでいると考えたらどうか。
例えば軍事政権による圧政が日々強くなりつつあるミャンマー(2021年4月、軍事政権下で市民に対する死刑判決が下されるなど)。
囚われ、脱出し、帰還するも帰るべき場所が存在しなかったらどうだろう? 人は復讐に向かうだろうか? 対象は軍事政権? それともそれを執行した警察官(または軍人)?
圧政を阻止できなかったアウンサンスーチー?
はたまたスーチー氏拘束時に積極的な異議を唱えなかった日本??
単なるSFストーリーとしてだけでなく、聞くものそれぞれに考えさせるようなリリックである。
【歌】
これまでに3人のヴォーカリストを擁する(そのうち2人はヴォーカル専任)バンドで成功した例はあるだろうか?
バンドメンバーの多くがヴォーカルを務められるバンドは数多い。
歌うメンバーを変えることによってその曲の雰囲気を変えるというのはよくある手法。
同一曲でパートにより歌うメンバーが変わる、というのは目まぐるしいといえばそれまでだが、
skyfall ではエイリアン、救護者、第三者の視点で歌手が変わり、ある意味わかりやすい。
そしてそれぞれの歌い手の特徴だ。
カイ・ハンセン:初代バンドのヘタウマ歌手(笑)。声がきれいなわけではなく、音程が安定しているわけでもなく。テクニック的にどうかと言われれば、技巧派ミュージシャンの多いヘビメタ界ではヘタなほうでしょう。しかし、彼の武器は「声」そのもの。なにせジャーマンメタルの元祖ですし、その後ガンマ・レイでもラルフなきあとず~っとヴォーカルを務めてきたわけですから。ま、ひとつ難点があるとすれば「ガンマ・レイ」っぽさ。カイ自体の声ではあるのですがガンマ・レイ時代が長かったので仕方ないか。もうね、声を聴くだけでガンマ・レイの楽曲かと思うほどバックトゥザフューチャーですよ(謎)。
アンディ・ディリス:今やハロウィーンの歌手としては最も長い期間活動している。クリアな声ではなく少し濁った感じの歌声は曲の性格によっては非常にピッタリで、やはりアンディ時代の楽曲は彼が歌うとしっくりくる。ただ、初期バンドに洗脳された身としてはやはりマイケル・キスクの声を欲してしまう。これはアンディの能力とは関係なく単に好みの問題だ。
ただ、少なくとも3人で歌う場合のバリエーションが豊かになっていることは確か。
そしてマイケル・キスク。マイケルはドイツ語読みでミヒャエル、それが転じて昔はミッヒなんて愛称で呼ばれていたよな。しかし、そんな可愛らしい愛称を受け付けないほど今の彼はごつい(笑)。 ハロウィン脱退後はなんだかよくわからないジャンルで歌っていたが、少なくとも彼は歌うことをやめなかった。日本でも、昔から歌い続けている歌手が今でも度肝を抜くような歌唱力を発揮する(岩崎宏美、布施明、森山良子・・・)が、彼もそう。
「Keeper of the seven keys」を足掛かりにバンドが世界進出を始めたのも彼の声があったからこそ、と勝手に思っている。カイ・ハンセンの声は大好きだが(ヘタウマだけど)、あれではメジャーにはなれない。
そしてそのキスクのパワーヴォイスは今でも健在なのだ。
これら3人の強力な「声」が場面により使い分けられており、曲のパワーアップに寄与している。
緊迫感を醸し出すアンディのだみ声、危険をはらむ場面でのカイのヘタウマ声、そして朗々と歌い上げるマイケル。
個人的にヘヴィメタル界における最強ボイスはロニー・ジェイムス・ディオが不動の地位を確立しているが、それに続く(ハロウィンでの)マイケル・キスクの歌唱は素晴らしいの一言に尽きる。
思い返せば初めて彼が参加したオフィシャルアルバムである「Keeper of the seven keys part 1」でのA面ラストの曲、「A tale that wasn't right」を聞いた時のような鳥肌が立つような歌は今でも滅多にお目に(お耳に?)かかれない。
【メロディ、アレンジ、構成】
これらを一緒くたに語るのは無理があるが、とにかくね、ハロウィン節炸裂なわけですよ。
*シンプルで美しい主旋律
*まるでアニメの主題歌のような分かりやすさ(メロディも歌詞も)
*特徴的なリフ
*耳に残るギターソロ
*耳に残る声
skyfall の特徴を端的に表せばこういうことになるのですが、これはヘヴィメタルに求める良い曲の必須条件なわけですよ。
いや、エレキギターは現代楽器だからディストーションの効いた音質は別にして考えれば、この条件はクラシックにも当てはまる。とにかく美旋律は音楽の正義だ!というのがワタシの考えなので100%それにハマっちゃったこの曲がキライなはずもなく。
生まれて初めて買ってもらったLPはアニメ主題歌のコンピレーションだったが、昔のアニメは今のようにタイアップ曲ではなく作品それ自体を題材にした歌詞。プロのコンポーザーが全力で作り上げるわけだから(シンガーソングライターではなくという意味)、クオリティは半端ではない。
アニメ主題歌に例えられるハロウィンの楽曲は楽曲の質はもちろん、今や表現力も最高レベルの状態なわけだから、悪いわけがない。
(ウチにあったのはこんな時代感のLPレコード。ライディーンの歌が聴きたかったんだよね)
そんなわけで、6月のアルバム発売までは
skyfall が擦り切れるまで聞いておくとしよう。
あ、CDは非接触ピックアップだから摩耗しないのね。
最後に追記:
skyfall のイントロを頭の中で再生するといつのまにか「Eagle Fly Free」になっちゃうのは自分だけ?
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