その時すでに映像化された作品があるのは知っていたのだが、なぜかそのまま放置。
で。
このたび某動画再生サイトで映画『
ぼくのエリ』を鑑賞することができたのでその感想を。
まず、
MORSEを読んだ際の感想をブログに書き込んだと思っていたにも関わらず発見できず。
ん~?
それならば実際の書籍を見つけよう!と思い、家探しするも発見できず。
仕方がないのでネットに落ちていた画像を張っておいたのが上記写真です。
パッと見、なんの画像か分かりませんね。
で。
映画の感想はこちら ↓
【あらすじ】
某動画サイトにあるあらすじをそのまま載せておきます。
いじめられっこで繊細な12歳の少年オスカー。友達が欲しいという孤独な少年の願いは、同じ12歳のエリが父親と共に隣の家に越してきた事で、とうとう叶えられそうだ。しかし青ざめた顔をした少女の外出は夜だけ。キャンディも食べられない。そしてエリが現れた頃と時を同じくして、街では不可解な失踪や殺人が次々と起きはじめる……。恐ろしい話が大好きで内向的なオスカーはエリがヴァンパイアだと気付く。12歳の体に永遠の命を閉じ込められたまま生きるエリは、常に旅をし続けなければならない。ふたりの幼い恋が終わるかに見えた時、オスカーに最大の悲劇が襲いかかる。エリは彼女が出来る唯一の方法で彼を守るため、戻ってくる……。
【音について】
余計な音はなし。
舞台がスウェーデンですから(で、冬)、当然雪で音が消されるのがデフォルト。
もちろん監督があえて雑多な音をカットしているということもあるでしょう。
作品自体に不気味(あるいは謎)な雰囲気を持たせるためにそれはうまく機能していると思います。
例えば冒頭のエリの父親(らしい男)が血を採取する際の手際。
余計な音がしない。
そしてBGMなども極力排している。
主人公オスカーがかけるシングルレコードのロックだけが現代を表しているようで、それ以外の音はまるで雑音だらけの現代社会とは別モノのように抑えている。
この無音感だけでも本作の大きな特徴となりうると思います。
【吸血鬼について】
「
ぼくのエリ 200歳の少女」 とあるように、不老不死を扱っている作品です。
不老不死を支えているのはもちろん吸血という行為。
当然ブラム・ストーカーのドラキュラを思い浮かべるわけですが、そのオリジナル同様、エリは孤独な存在として描かれています。
ただ、本作でのエリはちょっと違います。
圧倒的な身体能力や襲おうとした人物に「招き入れられない」と家に入ることができないというところはオリジナルを踏襲していますが、十字架に触れると火傷するとか、にんにくが嫌いとか(これは後付けのキャラ?)、木の杭で心臓を貫くと死ぬとかいうことはハッキリ描かれていません。
ただ、エリに吸血されて(ほかの人に助けられたため一命はとりとめた)ヴァンパイア化した女性が自らの将来を考えて自殺する場面。
日光が苦手なのでカーテンを引いてもらっていたが、「お願い、カーテンを開けてお日様が見たいの」と頼み、日に焼かれて焼死するところなどはオリジナルの吸血鬼っぽいですが。
【描かれるのは様々なマイノリティー】
マイノリティーという言葉が浸透し、世の中何事も多数決で決めりゃいいってもんじゃないよなと最近強く感じていますが、本作でもそんなマイノリティーな人物が描かれています。
主人公オスカー。ティーンエイジャーでいじめられっ子。
いじめられる一因はホラー好きということもあるようだ。ま、万人が好む物語とは言えないけどね。
両親は離婚し、友達もいない彼が不思議な雰囲気を持つエリに魅かれたのも無理ないかもね。
そしてエリ。
もちろんイモータルで他の人間と違い圧倒的に長い時間を生きているというところがマイノリティー。そんな彼女が自分を恐れず認めてくれるオスカーに魅かれたのも当然か。
エリの父親。
のように描かれているが、エリの寿命を考えれば彼は当然数十年前にエリに魅かれ、オスカーと同じようにエリを守るために旅に出ることを決心した人物であろう。
エリと彼女の秘密を守るために、自ら塩酸を被り証拠隠滅を図るくらいですからね。
そして最後は・・・。
ん~、なぜかわからないが彼の作品には独特の雰囲気がある。
他の作品がほとんど日本で刊行されていないのが残念なほど。
MORSEを読んだ時にも感じた「明らかに他の作家と異なる」感はこの映画化作品でも健在で、調べたら
リンドクヴィスト自身が脚本も担当しているようだ。
【現代社会問題の描写】
これは原作に忠実に(小説行方不明なので、たぶんそう思う)描かれていると思うが、以下のようなことが見受けられる。
*離婚した片親のもとで成長する子供
*アルコール中毒もしくは年金生活
*学校内でのいじめ
*同性愛
現代の
MORSEは当然モールス信号のことで、オスカーとエリが隣家の壁越しに(あるいは最後のシーンのように)意思を伝えあうための手段として利用するが、映画では原作ほどそれを使うことの重要性が薄れているようだったのが残念だった。
しかし、おおむね映画の雰囲気、エリの存在のはかなさ、現代社会との共存の難しさなどとても楽しく見ることができました。
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