文庫本に記載されているあらすじを記しておきます。
異様な手口で惨殺された二人の女。カミーユ・ヴェルーヴェン警部は部下たちと捜査を開始するが、やがて第二の事件が発生。カミーユは事件の恐るべき共通点を発見する・・・・。『その女アレックス』の著者が放つミステリ賞4冠に輝く衝撃作。あまりに悪意に満ちた犯罪計画ーあなたも犯人の悪意から逃れられない。
自分が読んだ
ルメートルの本を復習しておきましょう。
2014年、週刊文春のミステリーベスト10に選出された作品。
同時にSNS上でも騒がれて思わず手に取ったものでした。
2.死のドレスを花婿に
「その女アレックス」の原点となっていますが、ヴェルーヴェンシリーズではありません。そして、書籍にあるあらすじは以下の通り。
ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。幸福だった彼女の破滅が始まったのは数年前。記憶にない奇行を繰り返し、彼女はおぞましい汚名を着て、底辺に転落したのだ・・・。ベストセラー『その女アレックス』の原点。あなたの心を凍らせる衝撃と恐怖の傑作サスペンス。
3.
わが母なるロージーヴェルーヴェンシリーズ3部作の番外編。あえて2.5部というところでしょうか。
こちらもあらすじを。
パリで爆破事件が発生した。直後、警察に出頭した青年は、爆弾はあと6つ仕掛けられていると告げ、金を要求する。カミーユ・ヴェルーヴェン警部は、青年の真の狙いは他にあるとにらむが・・・。『その女アレックス』のカミーユ警部が一度だけの帰還を果たす。残酷にして意外、壮絶にして美しき終幕まで一気読み必至。
ブログにも書きましたが、ハードロックをかけつづけるのは拷問じゃありませんからねっ!!
こちらもあらすじを。
カミーユ警部の恋人が強盗に襲われ、瀕死の重傷を負った。一命をとりとめた彼女を執拗に狙う犯人。もう二度と愛するものを失いたくない。カミーユは彼女との関係を隠し、残忍な強盗の正体を追う。「悲しみのイレーヌ」「その女アレックス」の三部作完結編。イギリス推理作家協会賞受賞、痛みと悲しみの傑作ミステリ。
本作読了時、三部作の第1作である「悲しみのイレーヌ」を読むのを躊躇したけど、やっぱり読みたくなりましたね。
とい、いうわけで「~イレーヌ」の感想は ↓
三部作すべてを読み終わって感じたのは、『初めの物語がこんなに壮絶で重たかったのか!』でした。
もちろん
ルメートル作品は全て筋立てが読めなくて、陰惨な表現が多いので「重たい」のはしかたがないのですが。
相変わらず
カミーユ及び周りの同僚たちがよく描けている。
今回はそれに加えて・・・
① ジャン=クロード・マレヴァルがじっくり描かれている。「傷だらけの
カミーユ」で再登場するマレヴァルですが、こんなことがあったんですね。
②
カミーユの奥さんイレーヌが登場。そしてその夫婦の関係と妊娠の様子などを読むことによって、感情移入しちゃうわけですが最後はあんなことに。救われたのはイレーヌ親子の殺害現場を冒頭のクルブヴォアの事件のように克明に描写されていないこと。
③ 小説を題材にした作品であること。
キング作品(どうしても比較してしまう)では小説家を登場させるお話が多いのですが、本作のように小説自体を再現したり他の作品を複数取り上げたりする(あるいは抜粋)作品はないのでは??
で、おまけに小説の中に小説を登場させ、わずかながらの捜索を加えることによりキャラをたたせたり、混乱させたりしている。
いいですね、この入れ子状の組み立て方。
あと題名ね。
日本では「悲しみのイレーヌ」としていますが、おそらくこれは3部作には『人名を入れる』という縛りを設けたのだということは容易に推察されます。
しかし、原題は「Travail Soigne」。
フランス語でしょ?なんて読むか分かりません♪
しかし、今は便利な時代。
ネットでチャチャっと調べられます。
意味は「入念な仕事」ということらしいです。
うん。
小説を模倣して殺人事件を起こす犯人。
確かにその内容を忠実に再現するため(あるいは撮影するため)に多額な費用をかけているわけですから。
しかしまぁ、この作品を読んでから残り2部を読むと、また違った印象の作品になるのでしょうね。残酷な描写が苦手な人にはお勧めしませんが、小説の入れ子形状、急激なストーリー進行、魅力的なキャラ、フランス語独特の(たぶん)表現というか描写・・・本作の魅力はあちこちにちりばめられています。
まだ、COVID-19騒ぎで外出を控えている御仁は読書してみてはいかがでしょうか?
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